昨今よく聞く「新電力」とは、消費者にどのようなメリット・デメリットをもたらすのでしょうか。
そもそも新電力とはどういうものなのでしょうか。分かりやすく解説しています順にみていきましょう。
新電力ってなに?
新電力とは、“電気の販売に新しく参入した小売電気事業者”のこと指します。
2016年3月以前の日本では、一般の大手電力会社10社 にしか電気の販売は許されていなかったので、今のような新電力会社はありませんでした。
2016年3月以前の大手電力会社(地域電力)
東京電力・北海道電力・東北電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力
しかし、2016年4月より「電力の小売全面自由化」が開始され、販売制限がなくなり、多くの企業が電気の小売事業に参入可能になり、広く知られるようになりました。
新電力の仕組み
電気は以下の3つの部門を経て各家庭に届く仕組みになっています。
- 発電部門(電気をつくる部門)
- 送配電部門(電気を送る部門)
- 小売部門(電気を販売する部門)
先程説明した通り、電力の小売全面自由化が始まるまではそれぞれの大手電力会社が①~③をすべて行っていました。
それが、「③小売部門」に他の会社も入ることができるようになり、新しく参入してきた会社が新電力と呼ばれています。
新電力会社の多くは市場取引や発電会社から電気を購入していますが、自分たちで発電を行っている会社もなかにはあります。
ただ、電線を使って一般家庭まで電気を届ける「②送電部門」については、大手電力会社が所有している送配電網を借りています。
新電力会社は、送配電線の利用料金である「託送料金」を支払い、大手電力会社の送配電網を使って一般家庭に電気を供給する仕組みになっています。
新電力に変更したら電気の質が悪くなる?
最初に言いますと、電気の質が悪くなることはありません。
新電力は電気の小売をしている会社です。電気が送られてくる「送配電」の部分はこれまでと変わらず、大手電力会社のものを使用しています。
なので、新電力と今まで通りの大手電力会社の間で、電気の質が変わることはありません。
新電力ができる以前の電気はこうだった
規制料金(総括原価方式)の計算方法は、以下の通りです。
- 営業費(燃料費・設備費・運転費・人件費など)に適正な利潤を加える
- そこから電気料金収入以外の収入を引く
地域独占の大手事業が過剰な利益を得ることができないように、このような計算方法がとられていました。
しかし、この方法にはデメリットがありました。
地域ごとに電力会社が1社しかなく、独占的に電気の販売がされていたため、企業努力による価格競争が起こることがありませんでした。そのため、消費者は他の電力会社の比較検討ができないまま「電気代が高い」と思いながらも契約し続けるしかありませんでした。
新電力に切り替えるメリット
今度は新電力に切り替えた場合、消費者はどのようなメリットをうけられるのでしょうか?代表的なものをあげていきます。
(セット割や電気料金以外のコストを低くできるものや、使うほどポイントがたまるもの等)
新電力に切り替えるデメリット
メリットがあればデメリットも発生するもの。次は、あげられるデメリットについてあげていきましょう。
などがあげられますが、このデメリットがすべての新電力会社に当てはまる。というわけではありません。
自身の生活にあったものが自由に選択できる反面、まったく合わないものを選んでしまうと、逆に電気料金が高くなってしまう可能性があります。また、検針票についても紙で届くところ、スマートフォンやパソコンで確認できるところなど会社によってそれぞれ違いがあるので、いかに自身にあったものを選べるかが大切なのです。
いまさら聞けない新電力5つの質問
今までは「新電力」がどういうものか、というものをみてきました。
次は新電力に切り替えた際に聞きたいけど聞きづらい…という5つの質問に答えます。
Q1,新電力にするのに新しく電線の工事は必要?
電気が安くなったとしても、電線や配線工事でむしろマイナスになってしまうのでは?というところも気になるところですね。
新電力へ切り替える際に、基本的には工事は必要ありません。ただし、初めて新電力に切り替えるとき、ご自宅(使用場所)の電気メーターがスマートメーターでない場合は、スマートメーターへの切替工事を実施することがあります。
といいましても、特別な手続きや申し込みが必要なわけではありません。新電力への切り替え申し込みをするだけで、電力会社側が取り換え工事の手配をしてくれます。なお、工事は原則無料となっているので、無料で新しいメーターにかえてもらうことができます。
Q2,新電力は停電しやすくならない?
これまでにも説明した通り、送配電網を新電力と大手電力会社で共有しているので、新電力に変更したからといっても頻繁に停電が起きることはありません。
逆に言うと、地震や台風などの自然災害が発生した場合に住んでいる地域の大手電力会社で停電が起きれば、新電力会社でも同じように停電が起きます。
なので、停電する・しないはこれまでとなんら変わることはありません。
Q3,万が一、新電力が倒産・撤退したらどうなる?
自身が契約している新電力会社が、もし倒産・撤退してしまったら電気が止まってしまうのではないか?と気になるところ。
新電力も一般企業と同じように、当然ながら倒産してしまうことや電力事業から撤退する可能性はあります。そのような場合を想定して、消費者を守るための仕組みを国は作っています。
新電力会社が倒産や撤退をする場合、電気が止まる15日ほど前までにその旨を消費者に通知する決まりがあります。
このルールにより、消費者はその通知を受け取ってから新たに他の電力会社を契約をすることで、安く電気を継続して使うことができます。もし新たな電力会社とすぐに契約ができなかった場合でも、在住地域の大手電力会社が電気を供給してくれる措置がとられるようになっているため、その間に改めて別の新電力会社と契約をすることが可能になります。
ただし、大手電力会社からの供給も一定期間が過ぎると止まってしまう可能性もあるため、新電力会社の倒産・撤退の通知がきたら、早めに別の新電力会社を探し始めましょう。
Q4,新電力で高騰したって聞いたことがあるけど実際どうなの?
テレビのニュースなどで、電力市場が価格高騰したというものをみたことがあるが、実際どうなのでしょうか。
新電力の料金プランに、「市場連動型プラン」と呼ばれるプランがあります。こちらは電力の市場価格が電気代と連動するため、市場が安い場合には電気料金をその分安くできるメリットに対し、市場が高騰した場合はその分電気料金が高くなるデメリットを併せ持っているプランです。
以前であれば安く使えていたこのプランですが、2020年あたりから大寒波での需要高騰や、仕入れルートの減少により卸売価格が高騰の傾向にあります。
ただ、「市場連動型プラン」ではないプランの場合そういったことはないので、どのプランが自分にあっているのか、自由に選びましょう。
Q5,新電力をやめるときに解約金はかかる?
生活スタイルが変化したり、セット割だったけど片方をやめたい。などで電力会社を変えたい。プランを変えたいという場合もあります。その時に莫大な解約金が発生して負担になるのではないか。というのも新電力に切り替える際の心配のひとつかと思います。
こちらも新電力会社やプランによって解約金が発生する場合、しない場合があります。
「最初の3ヶ月は解約金が発生する」「1年ごとに更新で更新月ならば解約金は発生しない」など、期間によって定められているものや、もともと発生しないものなどでそれぞれですので、契約する際にはきちんと確認しておきましょう。
まとめ
新電力とはなにか?を知り、メリットとデメリットも比較してきました。
自分に合うものを選べば安くなるが、自分に合わないものを選んでしまうと高くなってしまうように、何を選ぶかが重要になってきます。
電気料金シミュレーションでご自分の電気料金がどのくらい安くなるのか比較してみたり、代理店や営業の方にここが困っているとご相談するなどして、できる限りメリットを多く受けられるようにプラン選びはしっかりとしていきましょう!
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